こちらでは、当研究所に頂いた質問の中の幾つかをご紹介します。
- 落ち込んで引きこもっている高校3年生の娘のことで悩んでいます。
娘を2-3カ所のクリニックや相談所に連れて行ったのですが、なかなかつながりませんし、最近はいやがっています。お医者さんはあまり深刻に考えるなと言ってくれるのですが。どうしたらよいのか、不安にかられる毎日です。 - 思春期は親からの自立、仲間との付き合いを学びながら成長し大人になっていく重要な時期です。従って思春期は心理的危機でもあり、多くの悩みが出現し、親や仲間と時にぎくしゃくしたり、不適応状態に陥ります。
また思春期の子供を持つ親は、中年期で、もう一度自分の人生を振り返り、自己の生き方の再点検を必要とする時期です。つまり中年期の親も心理的危機を迎えているわけです。したがって子供の心のゆれが親の心のゆれを強め、あるいは親の心のゆれが子供のゆれを強めます。親と子供の間に悪循環が引き起こされます。「親子療法 引きこもりを救う」を参照ください。今まで森田療法は不適応を起こしている人、例えばここで挙げられている例では、思春期の娘さんが対象となりました。しかし本人が専門家に相談する気持ちがなければ、お手上げでした。ただ本人の自覚を待つだけでした。しかし何とかしなくては、と悩む親への治療を通してこの問題の解決の糸口をつかめる場合もあることが分かりました。森田療法に基づく家族療法的アプロ-チといってもよいかもしれません。
つまり親と子供の間で起こっている悪循環(悪循環は心の中だけではなく、対人関係にも起こってきます)に気付くこと、ここで子供への関わり合いを含めて自分の生き方をみつめ直してみることなどがそのポイントとなります。まず親の生き方を問う手がかりとして森田療法は役に立つと思います。