コロナパンデミックと森田療法(1)
-パンデミック連鎖-
森田療法研究所・北西クリニック 北西憲二
2020年4月8日現在、コロナウィルスの流行は止まるところを知りません。連日、マスメディアで取り上げられ、それらのニュースを夜中まで追いかけている人たちも多いものと思われます。マスコミの過剰な伝え方もあり、またSNSなどを通して、フェイクニュースも乱れ飛んでいます。いわば情報パンデミックです。
情報パンデミックとは、夜のニュースを次から次に見続け、インターネットで情報をあさり、SNSから発信される情報の振り回されている状況です。
コロナパンデミックが情報パンデミックを生み、それが不安・うつのパンデミックを生じさせます。パンデミックの連鎖です。
このような状況は、対処が不可能になるという無力感と予測が出来ない将来の不安に私たちを駆り立てます。この不安・うつはウイルス同様に、人びとの間で感染し、社会全体にパンデミックし、増強します。不安・うつのパンデミックです。
このような不安・うつは、人びとに感染し、その力を強めていきます。人びとはその情報に振り回され、時に眠れない夜を過ごしているかもしれません。
コロナパンデミック、情報パンデミック、そして不安・うつパンデミックの連鎖の中に私たちは閉じ込められ、そこから抜けられない事態になりつつあります。
これは人類が今まで経験してきた悲惨なパンデミックを思い起こさせます。このパンデミックは、個人がウイルスに感染するかどうか、だけでなく、情報化社会やその国の文化社会的特性とその矛盾、脆弱性を浮かび上がらせます。そしてそこでは私たちのあり方自身も問われてくるのです。
この不安・うつパンデミックにどのように対応していけばよいでしょうか。しっかりと現実を見つめながら、自分として、どのような生きていけばよいのか、を考える必要があります。自分自身を見直す機会でもあります。
これらについて、森田療法の立場から考えてみます。読んでいただいた方々のお役に立てれば幸いです。
(2020/04/09)